2025/10/30 09:51


※%は精米歩合です。
豊香純米大吟醸は、信州の風土の豊かさと米の素晴らしさを見事に反映した、特筆すべき日本酒である。丹精込めて造られた金紋錦、山田錦、高嶺錦の三種の長野県産のお米を、豊島屋独自のブレンド技術によって一体感ある味わいに仕上げられ、酒米農家と酒蔵のそれぞれの想いが一つになって伝わってくるように感じられる。
香りは洋梨や熟した林檎のような華やかさが特徴であり、洗練や上質さのある味わいへの期待感が膨らんでいく。一方で、飲み終えた時に鼻腔から抜けていく白玉あんみつのようなどこか馴染みのある香りには、安心感ややすらぎが得られる。
次に味わいの特徴である。第一に、豊かな果実味とジューシーさがしっかり感じられ、味わいの芯には豊富な酸味が柔らかく存在している。それを支えるように上質な米の味わいに由来する甘味と複雑味が感じられる。この複雑味は雑味とは異なり非常にクリーンな味わいであり、全体の味わいに奥行きを与えており、旨味と共に長い余韻を作り出している。
深い奥行きを持つ豊香純米大吟醸は、一口飲むごとに新しい味わいの発見があり、決して飽くことなく感動のうちに飲み終えることなる。それは軽快さと落ち着き、爽やかさと滋味、それら重層的に味わうことのできる、唯一無二の純米大吟醸である。
華やかな香りと軽快な味わいを楽しみたい時は4-8℃でワイングラスに注ぎ、複雑味を楽しみたい時は8-12℃で大きめのお猪口でお楽しみください。
京都大学大学院にて地理学を学んだ後、振付家、ソムリエ(J.S.A認定)として活動。2010年よりフォーシーズンズホテル椿山荘東京、星野リゾート、オリエンタルランドにてソムリエやマネージャーとして経験を重ねる。2017年日本酒の魅力を伝えるために渡仏し、パリ日本料理店支配人兼ソムリエを務め、2021年に帰国。帰国後は株式会社ノットワーク代表として宿泊施設、レストラン、ウェディング事業会社などへのコンサルティング、文化庁食文化保護・普及事業、国税庁酒蔵ツーリズム等、総務省地域情報発信力強化事業監修、ガストロノミーや芸術文化に関わる事業を展開。 2024年(令和6年度)文化庁「食文化振興加速化事業」にて審議委員、観光庁ロングストーリー事業「中山道ツーリズム」にて食分野のプロデューサーを務める。2017年国際唎酒師(SSI)、2021年 WSET Level 3 Sake、2023年 WSET Level 1 Sake educatorを取得し現在に至る。。
